4.16.2014

ティモ鍋を焼く



2年前、田舎に小さな地所を手に入れた際、そこの納屋からティモ・サルパネヴァの鉄鍋(いわゆる『ティモ鍋』)が出てきました。1960年に発表され、一旦廃盤になりましたが21世紀に入ってイッタラ社で復刻され、現在も人気の高い有名な作品です。持ち運びや蓋の開閉に使う木製のハンドルがついていて、シンプルながら独創的な北欧デザインの代表作ともいえるでしょう。

その田舎の地所には80年代初めごろから通年で住む人はいなくなっていたようですので、それ以来日の目を見たということなのでしょうか。もちろん、コンディションはすこぶる良好でした。

現在売られているものは中がホーロー引きになっていますが、手元にあるこのバージョンは蓋の内側だけがホーロー引きで、中の鍋肌は鋳鉄のままです。また、今売られているものより少しだけ大きい気もします。

この鍋を、豚の脂を塗って高温のオーブンで焼くという、昔ながらの方法でお手入れしてみました(注*)。
そもそも鋳鉄製の鍋釜は、ものの本によれば「永久に使える」ものだそうで、フィンランドの家庭には100年ぐらい前から代々使われているものもあるとか。
またうっかり錆びてしまったりしても、手入れをすればリカバリー可能という優れものだそうです。
大雑把な筆者には敷居が高かった鋳鉄ものもこれで何となく親近感がわいてきて、好奇心も手伝い市場で豚の脂を入手。
店頭で「鍋を焼くのに使う」と説明したところ、精肉店のおじさんも何の迷いもなく適当な塊を切って売ってくれました。

まず鍋の汚れや錆びを取り除きます。今までついていた脂の層を広い範囲で落とすならスチールウール(石けんのついていないもの)が早いですが、小さな錆びの除去といった場合は、食塩をクレンザー替わりに生のジャガイモの切り口でこするとよく取れます。このアイデアはアメリカのウェブサイトに出ていたもので、実際に試してみましたがなかなかよかったです。
(ただし、鉄鍋は塩分を嫌うため使用後はよくすすぐこと)



そのあと、いよいよ脂の塗布へ。鍋を火にかけ、豚の脂の塊を溶かしながら塗っていきます。内側だけでなく外側も塗りました。側面を塗るときは脂の塊をフォークに刺すなど工夫して。鍋が脂でテカテカしているのに注目。

ここでショートニングや菜種油など植物性油脂を推奨している場合もあるようなのですが、一部のフィンランド人によると「必ず豚の脂」であることが重要らしいです。
オーブンで焼くことでこの豚の脂の成分が保護膜のように変化し、一種のテフロン加工のような効果を生むことになるとか。それは植物性油脂では決して得られないものだというのです。

250度のオーブンで30分ほど焼き、お手入れが完了したのが最初の写真です。いい感じ♪

追記(2014年4月16日):
注* 
これは、あくまで鋳鉄製の鍋、フライパンに限った伝統的なメンテナンス方法です。
ホーロー製のティモ鍋(ヴィンテージ)や、現在イッタラ社で販売されている内側がホーロー引きのティモ鍋には向いていないと思われます(高熱でホーローが損傷します)。特に現行品については、メーカーの指示に従ってお手入れをお願いします。