12.03.2015

夜長



 

今年はまだ初雪が降らないヘルシンキから、こんばんは。
12月に入りました。
諸々のデスクワークが大詰めを迎えており、ついつい夜が長くなってしまいます。

大小の翻訳案件数件を抱えているなか、一件は以前お引き受けしたことのあるテーマの発展形ということで、昨年の成果物が掲載されているページをご紹介いただきました(今年もこれと対応させてください、ということです)。

翻訳者であれば、広いネットの世界のどこかに自分の原稿が載っているのはまあ普通だとは思うのですが、おお・・・改めて見ると、正直なかなか深いところに届いている情報ではあります。
掲載先が申し上げられないのが残念ですが。

今も夜が深まってきてしまっていて、心身共に疲れていますが、この調子で進みたいと思わされたのでありました。

ちなみに、上の素敵な窓は、現在ハウスミュージアムとなっているフィンランドを代表する建築家、アルヴァ・アールトの自邸で最近撮影したものです(残念ながら私の家ではなく・・・泣)。
仕事の関係で年間で最も頻繁に行くミュージアムの一つなのですが、こういう時間帯に来たのは初めて。当時の家というのはこんなに暗いものだったのかとはっとさせられ、谷崎潤一郎の「陰影礼賛」が頭をよぎりました。

陰影礼賛は昭和8年、この家は昭和11年に完成しているそう。

と、日フィンを私なりに繋いでみたところで、また。


11.11.2015

近況


こんばんは。

今年も11月に入り、1年の終わりが見えてきました。
今年は前半は翻訳業務で徹夜が続き、夏から秋にかけてはやや予定調和的な仕事が多かった気もしますが、あまり体調が良くなかったのでそれはそれで有り難く、お休みも多少頂戴し、これから年末に向けては、少し内容の詰まった仕事が続きそうです。

現在はある学術調査のためのコーディネート業務(この口当たりよく中身の薄い言葉が以前からどうも好きではないのですが・・・要するにアポ取りですよね)、そして少しでも時間があれば、締め切りが徐々に見えてきた大口翻訳プロジェクトなどを中心に取り組んでおります。
また、詳細はまだよくわからないのですが新しいプロジェクトにもスカウト?され、行方を見守っているところです。



ヘルシンキも外は大分日が短くなってきました。ちなみに、今日11月11日のヘルシンキの日照時間は7時間51分とのこと。
日の出が午前8時8分、日の入りが15時59分です。
外が暗いと、休憩タイムのコーヒーカップにもつい明るい色を選びたくなります。
フィンランドに来たばかりの頃は派手な色の食器を使う感性が理解できませんでしたが、今はよく分かります。

ところで先日、お手伝いさせていただいたガイドブックをご紹介させていただきましたが、最近この本を持っている旅行者の方を時々街で見かけます。今度、名乗り出て写真でも撮らせていただこうかと思ったりしています・・・(笑)

自分が提供する情報はどこに行き、どんな影響を持つことになるのか。
インタビュー先から時々言われる言葉です。私自身はそんな情報の媒介役になっているだけに過ぎないのですが、やはり同じことは気にしています。情報の届く先を見据えてお仕事できればと思っています。

ということで、年末まで忙しくなりそう。体調を整えて臨みたいと思っております。

では、また!

9.26.2015

テロ・サーリネン・カンパニー「Morphed」

こんにちは。

今日はある研修に参加する予定だったのですが、今月上旬から引きずっている、長引く風邪にてついにダウン。楽しみにしていただけに大変残念ですし、研修の参加費用も払わないといけません。
ですが、来る第4四半期を乗り切るためにも、ここは休むべきときなのかもしれません。

さて最近のお仕事として、さる6月に彩の国さいたま芸術劇場で開催された、フィンランドを代表するダンスカンパニーであるテロ・サーリネン・カンパニーの「Morphed」日本公演に関する日本語関連のアフターケアを、ヘルシンキにて少しだけですがお手伝いさせていただきました。





音楽は、世界のクラシック音楽界のスーパースターの一人ともいえるフィンランドの作曲家・指揮者、エサ=ペッカ・サロネン。輝きある、ダイナミックでスケールの大きな音響が私も好きです。ホルンを専攻していたというバックグラウンドに、なるほどと思わされます。

芸術の秋、心も身体もリフレッシュさせたいものです。



9.19.2015

サイトリニューアル

こんばんは。

なかなか慌ただしい9月上旬でした。
そんな中、Instagramやブログをやっているのに何だか統一感がなく、自分の会社のウェブサイトともう少し連動できないかなという雑念(?)に駆られ、数年ぶりにウェブサイトのリニューアルをしてみました。というか、もうちょっと頻繁に手を入れるべきなのですが・・・




まだ英語のページが公開できていませんが、日本語ページはこんな感じでございます。数年更新しないうちにウェブページ作成ツールがすっかり進化していて悪戦苦闘。結構好評なインスタグラムのガジェットを最初のページに取り込めたのはちょっと嬉しいです。旬のヘルシンキをトップページでお楽しみいただけるのではないかと思います。

また、日本語サイトには「お客様の声」を載せてみました。本当は仕事はいつも完全にうまくいくわけではないですし、一方でご満足いただける仕事にするのは当然といえば当然ですので、ちょっと面はゆいところもあるのですが、中には長年あえて私を使い、育ててくださっているお客様もいらっしゃいます。そんな方々からよい評価をいただいた時には、メモでもとってちゃんと記録しておき、またよいお仕事をご提供できるよう、糧にしていきたいものだと思っています。

仕事の中身は大筋ではまったく変わっていませんので、ウェブサイトの内容そのものに特に大きな変更はありません。もちろん、細かくいえば一つ一つの仕事は全部違い、それぞれに対応やケアを考える必要があるでしょうし、開業してからもフィンランドの資格をいくつか取ったりしましたので、自分が仕事で目指したいところには変化が出てきているかもしれません。

自分にとって胸のときめく仕事とは?そんなことも思う今日この頃です。

9.06.2015

ブルーガイドわがまま歩き フィンランド

こんにちは。

先日から断続的にご紹介してきたご報告第3弾、今回も書籍のご紹介です。

「ブルーガイドわがまま歩き フィンランド」

日本を代表する王道系ガイドブックシリーズの一つ、実業之日本社さんの「ブルーガイド」。
その「わがまま歩き」シリーズで、今年ついにフィンランド単独のガイドブックが発売され、ご縁があって、取材コーディネート等を担当させていただきました。
すでに7月に発売になっています。



観光名所や歴史、北欧デザイン、アクセスのよい中心部のカフェやレストラン、オーロラ、シベリウス、ムーミン、人気のお土産、旅の準備まで、あらゆる方に手に取っていただける実用性の高い一冊になっています。

年間決して少なくない数のガイド・通訳業務を承り、お客様のニーズにお応えすべく日夜奮闘中の立場としては、一般のお客様から業界の方まで、自信を持ってお勧めできる本にしたいという思いで参加させていただきました。

実業之日本社さんによると売れ行きもまずまずのようで、ほっとしています。
フィンランドへの旅をご検討中の方はぜひどうぞ。冬のラップランド情報も充実していますよ。




8.11.2015

ヘルシンキ猫カフェ「Kissakahvila」

先月ヘルシンキ中心部にオープンしたばかりの猫カフェに来ました。
この日は昼間に若干の空き時間が出ることがわかっていたので、その時間を狙って予約。3週間くらい前の話です。ネット上では大分先まで予約が一杯ですが、店頭で席が空いていればその場でも入店できるようです。


猫がいて、店内では靴を脱ぐ以外は街のお洒落なカフェという感じ。カフェフードやコーヒーも美味しかったです。
猫は6匹、そのうち5匹が遊び盛りの子猫です(里親も同時受付中とのこと)。猫の数に対して席数はかなり多く、それでなくともヘルシンキで初めての猫カフェ空間ということで、はじめは何となくかしこまった雰囲気が流れていましたが、一通りお茶を飲み終わると徐々に猫と遊び始めるお客さんも。

私はこの時間を使ってノートパソコンを開いてメール書き、そしてWindows10のアップグレードのお知らせが出ているのをいいことに、猫カフェでOSをアップグレードするという暴挙に出てしまいました。何とか予定の時間内に終わってホッ!次回はもう少し猫と遊びたい(笑)

店を出る段になって、顔見知りの若い在留邦人の方が来店していらしていたことに気づきました。席が離れていたので気づかなかったのですが、予約なしで来られたそうで、ヘルシンキゆかりの日本人の間でもすでに注目が集まっているようです(笑)







8.09.2015

「アイロハシュ-太陽の息子」

こんにちは。
前回の書籍ご紹介に続く、ご報告第2弾です。

リレハンメル・オリンピックでのヨイク歌唱や北欧理事会文学賞の受賞などで知られるサーミ人芸術家、ニルス・アスラク・ヴァルケアパー(Nils-Aslak Valkeapää)の生涯を描いた舞台「アイロハシュ-太陽の息子」(作・演出:アリペッカ・ラハティ/Ari-Pekka Lahti、2014年にフィンランド国立劇場で初演)の日本公演にあたり、戯曲の翻訳を担当させていただきました。

公演は、東京のシアターX(カイ)にて、去る7月24日から26日にかけて行われました。
ということで、実はもう終わってしまっているのですが(泣)、今年上半期にお引き受けしたお仕事の中でも、とりわけ忘れがたいものの一つとなりました。
一人の芸術家が芸術家となるまでの苦難と葛藤、自分の出自への誇りと呪縛、成功ゆえの空虚と喪失、などを見事に描き切った脚本で、翻訳作業に携わった者の心の栄養ともなる作品でした。

作品のストーリーや込められたメッセージは自分にとってはとても理解しやすく、大きな共感があったのですが、訳の方は何度読み返しても、公演が終わった後でさえ、もっとよいものにできたのではという気分に強く駆られます。
ですが、たとえ翻訳に拙いところがあったとしても、オリジナルの脚本とお芝居がそれをものともしないほど優れたものなのは明らかでしたので、ある意味では安心していることもできました。もちろん作者のアリペッカ氏からもアドバイスをいただき、温かい励ましをいただいての作業でした。

公演が終わってしまってからの投稿になってしまい、本当に申し訳ないです。
作品との出会いに改めて感謝しつつ、公演を実際にご覧になった方々にも、訳者が戯曲を読んで感じたのと同じ感動が少しでも伝わったようでしたら嬉しく思います。

(下はスウェーデン国立劇場制作のトレーラー)

7.20.2015

「国家がよみがえるとき 持たざる国であるフィンランドが何度も再生できた理由」

大変ご無沙汰しております。
何か月も間が空いてしまいました。


相変わらずいろいろな方面でお仕事をさせていただいていますが、この夏はいくつか告知できるお仕事があります。

その第1弾。

国家がよみがえるとき 持たざる国であるフィンランドが何度も再生できた理由
(著:古市 憲寿、トゥーッカ・トイボネン、マガジンハウス刊)

近年大変注目を浴びておられる古市憲寿さん、ロンドン大学准教授のトゥーッカ・トイボネンさんという2人の社会学者、そしてフィンランド国内の研究者の寄稿によって生まれた社会文化論です。

その中で、掲載されているフィンランド人研究者の論文の翻訳をお手伝いさせていただきました。
プロジェクトとしてはトータルで数年はかかっているはずですので、形になってよかったなと思っています。





時間をかけてまとめられた労作にもかかわらず、装丁はあくまで北欧デザイン♪という感じで軽やか。
マガジンハウスさんならではでしょうか。

本の内容もなかなか評判がよいと聞き及んでいます。
この本を通じて、日本におけるフィンランドへの理解にさらなる奥行きが生まれることを願っています。


2.24.2015

ゆるめの週明け


新しい週が始まりましたが、今週も仕事のスタートは割とゆるやかで、さすがにだいぶ元気になってきました。

正直、これは今月の初め、どうしても時間的に締切に間に合わないということで、あるお仕事をお断りしたことから生まれた時間です。仕事を断るというのは、いろいろな意味で大変辛いことです。でも、今回に関しては生きた時間になっていると思います。

そんな折、今日はフランスのケーブルTVで、日本のクリエイターの方々が日本国内のお気に入りの場所を紹介する「toco toco」という番組が放映されていることを知りました。吹き替えではないので皆さんが日本語を話しているのが生で聴け、YouTube版は英語の字幕がついています(フランス語字幕版はこちら。有料)。個人的にちょっとツボなスポットも紹介されていて、とても楽しく観ました。この先の放送も楽しみです。






          
さて、フィンランドに戻りまして(笑)写真は先日たまたま出会ったアラビアのファクトリービジットプレートです。
今は、アラビアのファクトリーショップに行くとファクトリービジットマグカップが買えますが、かつては絵皿だったんですね。。。

デザインは、今やムーミンマグのイラストでおなじみのトーベ・スロッテ。

海外のネットショップで1970年代の製品などと書いてあるものがあったのですが、トーベ・スロッテさんは1957年生まれですので、さすがにそれはないと思います。アラビア創業の年(1873年)にちなんだものではあるようですが、もう少し詳しく調べる必要がありそう。

作品そのものはもちろん大事なのですが、こうしたことからも、フィンランドの歴史が学んでいけるのではと・・・


最近、アラビア(イッタラ)では装飾用の絵皿というものをほとんど見かけなくなりました。
ミレニウムの前後には、日本の親戚にアラビアのイヤープレートをお土産にした記憶があるのですが・・・次回、イッタラの方にお会いする機会があったら聞いてみたいと思います。

ちなみに絵皿の後ろにある丸っこいのはムーミンの貯金箱ですが(写真が欠けていてすみません)、これはその昔、取引銀行に子連れで行った時に、子どもをなだめるために銀行の方がくださったものです(笑)。少し前に一時期市販されていましたが、今はもうないかもしれません。

あまりに法外な大金を出さずとも、生活に密着した形でいろいろなデザインとの出会いがあるのは北欧ならではかもしれません。

では、また。



2.21.2015

毎日身体を動かす

水曜日に懸案の仕事の一つが一段落し、3日ほどかなり自由な時間を過ごさせていただきました。
水曜日はプールで泳ぎ、木曜日と金曜日はスポーツクラブで小一時間汗を流しました。
こんな当たり前のことも今年はもう少し規則正しくできるよう、意識を高めていければよいなと思っています。
せめて昼と夜の区別はつけたいなと(苦笑)

実は仕事でも、去年くらいからスポーツ・フィットネス関連のお仕事というのを少しいただいています。
来る東京オリンピックとの関連もあるのではないかというお話をクライアントの方から伺いましたが、たぶん自分だけではないと思うし、それはわかりません。

ただ、自分ではまったく想定していなかったお仕事だけに、新鮮な気持ちで取り組んでいます。

熟練しているからではなく、それについて無知だからこそ与えられる仕事というのも、確かに一部にはあるような気がしなくもありません。

さて、写真は昨日行ったスポーツクラブにあるクライミングウォールです。高いところまで続いていて、思わず見とれました。試してみたことは、ないのですが・・・

では、よい週末を。

2.16.2015

新年の(遅すぎる)ご挨拶


前回の更新から、2か月半近いご無沙汰になってしまいました。
新年、明けましておめでとうございます(遅すぎ・・・)。

昨年の第四四半期は毎月1週間近い国内出張や、ちょっとスケジュールの厳しい日帰り出張があり、そもそも出張は8月、9月からあったので、体力的にも、ワークロードの上でも少々厳しい冬となりました。
年末年始は日本に帰省して、少しお出かけなどもしましたが、全体的には2年越しとなった合計数万ワードの超大口案件を中心に、急ぎの時事問題、年に一度の大きな展示会ブースでのお仕事、リサーチ業務、その他諸々に追われ、スケジューリングに思わぬ狂いも出て納期をずらしていただいたりなど、ちょっと個人的には頭を抱えるダメダメな新年のスタートとなってしまいました。

ブログが更新できなかったのも、まずお喋りの前に目の前の仕事をしないといけない状況だったというのが非常に大きいです。

ちなみに先週の取扱い言語は合計5か国語(英、フィン、リトアニア、スウェーデン、日)。
マルチリンガルを謳っているので理想形ではあるのかもしれませんが、それぞれのクオリティは実際どうなの?と内心は自分を追及中。もっとも、本当にやりがいのあるお仕事ばかりでした。成果物には責任を負いますが、その中でも自分に対して言いたいことはいろいろあるのです。

今週中旬まではまだ引き続き気が抜けないのですが、それ以降はフィンランドの小中学生の冬休みにかこつけて、少し仕事を整理して、若干ゆるめの予定を組んでおります。

忙しかったといっても、Instagramはちょこちょこ更新してました(でも、これ1枚1分くらいでできますのでご勘弁くださいね・・・)。ヘルシンキをはじめ国内の観光局のほか、世界中のハイセンスなアカウントから「いいね!」をいただいて、うれしく思っています。

今日はフィンランドの冬らしい画像で、Instagramに載せていないのを一つ。

もう2か月以上前のことですが、ラップランドである国際文化交流プログラムに同行させていただきました。

ラップランドにはサーミ人という、厳密にはノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアにまたがって分布する少数民族がいます。
フィンランドでは3タイプのサーミ人とサーミ語が存続しています。

個人的にとても感じ入るところがあったのは、話者数百人の消滅危機言語の保存に関する取り組みのお話。


フィンランドも、グロバリゼーションをますます邁進する今日この頃で、自分の仕事にもそれに伴う変化や影響は出ていると思います。それも重要なことだとは思っていますし、そこに乗っていくという仕事の仕方もしてはいるのですが、人里離れたラップランドで、ちょっと自分の原点…そもそも自分は何をしにヨーロッパに来たのか、忘れかけていたものが少し思い出されたような気もしました。

ということで、涼しい顔で仕事しつつ、こっそり自分探しもしながら(年いくつなんでしょうか)今年も走り続けたいと思っております。


どうぞよろしくお願いいたします。