前回の書籍ご紹介に続く、ご報告第2弾です。
リレハンメル・オリンピックでのヨイク歌唱や北欧理事会文学賞の受賞などで知られるサーミ人芸術家、ニルス・アスラク・ヴァルケアパー(Nils-Aslak Valkeapää)の生涯を描いた舞台「アイロハシュ-太陽の息子」(作・演出:アリペッカ・ラハティ/Ari-Pekka Lahti、2014年にフィンランド国立劇場で初演)の日本公演にあたり、戯曲の翻訳を担当させていただきました。
公演は、東京のシアターX(カイ)にて、去る7月24日から26日にかけて行われました。
ということで、実はもう終わってしまっているのですが(泣)、今年上半期にお引き受けしたお仕事の中でも、とりわけ忘れがたいものの一つとなりました。
一人の芸術家が芸術家となるまでの苦難と葛藤、自分の出自への誇りと呪縛、成功ゆえの空虚と喪失、などを見事に描き切った脚本で、翻訳作業に携わった者の心の栄養ともなる作品でした。
作品のストーリーや込められたメッセージは自分にとってはとても理解しやすく、大きな共感があったのですが、訳の方は何度読み返しても、公演が終わった後でさえ、もっとよいものにできたのではという気分に強く駆られます。
ですが、たとえ翻訳に拙いところがあったとしても、オリジナルの脚本とお芝居がそれをものともしないほど優れたものなのは明らかでしたので、ある意味では安心していることもできました。もちろん作者のアリペッカ氏からもアドバイスをいただき、温かい励ましをいただいての作業でした。
公演が終わってしまってからの投稿になってしまい、本当に申し訳ないです。
作品との出会いに改めて感謝しつつ、公演を実際にご覧になった方々にも、訳者が戯曲を読んで感じたのと同じ感動が少しでも伝わったようでしたら嬉しく思います。
(下はスウェーデン国立劇場制作のトレーラー)
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